マヒナとメハナに別れを告げ、突然現れ付いてきてという1人の青年に連れられるレオ達と 犬になってしまったエトーレ
大きな門を潜り抜けるとそこには日干し煉瓦でできた家、神殿などの巨大建築物、大きな湖から水が引かれた人工的な川など様々な物が太陽の日差しを浴びてキラキラと輝いていた
シャーロッテ 「わあ…ほんとに砂漠の中の国って感じ…」
ヴェレ 「僕達の故郷とは全く違うね」
? 「ここに来るのは初めて?」
カルロ 「俺は砂だらけの国に動物のような姿をしている奴らが住んでいると聞いたことはあったが
実際に見るのは初めてだ」
フリッド 「だけど動物になっちまうのは知らなかったなぁ…?」
? 「僕も正直びっくりしてるよ」
チロ 「なあ、なんでエトだけ犬になっちまったのか、お前達も驚いてる理由を教えてくれよ というかエトーレ、お前もなんか説明してくれよ」
そう言ってチロはエトーレを見る
エトーレ 『俺だって分かんないよ!説明して欲しいのは俺の方だ!』
チロ 「‥まあ犬だし、喋れねえか」
エトーレ 「ワン!…アウ?」『もしかして‥話してる事が通じてないのか?』
? 「大丈夫、これから説明するから。ああそうだ、名乗ってなかったね。僕はアステヌ。 この国で朗誦神官をしているんだ。」
シャーロッテ 「ろうしょう…?」
アステヌ 「うん。普段は神々へ祈りや賛歌を唱えてるんだけど、書記の仕事もしたりしているんだ。
困ったときは色々相談を受けたりもするし君たちも何か困ったら僕に相談してよ」
アステヌ 「 さあ着いたよ。実はね、ここにエトーレといったかな?君の家族がいるんだよ」
一同 「「「家族!?」」」
アステヌ 「そうみたいなんだ。実際この姿になってるしね。
エトーレ。彼らに言葉は通じないけど動物や僕ら獣人族なら通じるから安心して」
エトーレ 『…!はい!ありがとうございます!』
アステヌ 「ふふ、もっと砕けた口調でも良いよ。シャミラーお邪魔するよー」
そう言ってアステヌはにっこり笑うとドアを開けた
シャミラ 「あら、いらっしゃい♡」
アステヌ 「さあ、入って」
アステヌに促され家の中に入ろうとするエトーレ
しかしエトーレはシャミラの姿を見ると一目散にアステヌの後ろへ隠れた
エトーレ 『わあああ‼︎お邪魔しましたあああ‼︎』
カルロ 「なんだなんだ、そんな慌ててどうしたよエト。」
カルロ達は不思議に思って家の中を見るとそこには数人の男達に囲まれた綺麗な女性の姿が
シャミラの様子を見るとカルロはニヤニヤしながら言った
カルロ 「…ほお…なるほどなぁ。こりゃあ、エトとは真逆だな」
ヴェレ 「あはは、ちょっと意外だったね」
チロ 「なんだなんだ…うわぁ!俺も混ざりてぇ…」
フリッド 「おお!いい体してんじゃねぇか。けど俺は1対1で遊ぶほうが好みだな…。 後で声かけてみるか」
シャーロッテ 「ちょっと!遊びに来てるじゃないんだから!それに会ってすぐの人に対してそういう事言わないの!」
ヴェレ 「まあ確かにそうだけどこういう人を見て言うのならいいんじゃないかな」
カルロ 「…お前物腰柔らかそうに見えて意外と言うよな」
ヴェレ 「?」
外で感想を口々にする中、シャミラは慣れた様子で男性達を払いのける
シャミラ 「うふふ貴方達、今日はもう帰って良いわよ。また遊びましょ♡
さあ可愛い君たち、そこにつっ立ってないでこっちへいらっしゃい」
エトーレ 『お、お邪魔します…』
家の中に入る一同
シャミラ 「…それで、今日は何の用なの?」
シャミラは長く伸びた美しい爪を研ぎながら言った
アステヌ 「実は君に紹介したい人がいてね。君の従兄弟だ」
シャミラ 「は?何言ってるのよ。私の家族はいないって何度もい…………
そこまで言いかけるとシャミラは何かを思い出し―――
シャミラ 「…… まさか、その子が⁉︎」
アステヌ 「どうやらそうみたいなんだ。門の前でこの姿になってるんだから間違いないずだ」
シャミラ 「ウソ……ほんとに帰ってくるなんて…信じられない…」
カルロ 「どういう事だよ」
アステヌ 「エトーレ、君は《星読み》と呼ばれる大事な一族の1人なんだ」
エトーレ 『星読み…?』
シャミラ 「そう、私達星読みの一族は何千年も前から未来の天候を知ることが出来るの
エトーレ…家族だしエトでいいわよね
エト。夜空を見上げた時、星のようだけどどこか違うものが見えた事はない?」
エトーレ 『…‼︎あります!皆は見えないって言うんですけどなんでいつも僕だけ見えるんだろうって』
シャーロッテ 「そっか、だからエトーレがいつも航路を決めると好天候ばかり」
カルロ 「気象の事を何も教えていないのにそれだけは必ず正確だったのはそのせいか」
レオ 「ああ、昔から的確に言い当てていたな」
シャミラ 「…本当に私の家族みたいね」
シャミラは信じられないという様子で呟いた
アステヌ 「そうだね、僕もまだ信じられないよ
どうやら君たちも役に立っているみたいだけど本来は次の雨が降るまで水をどのくらいまで使っていいか決めたり ファラオやその達が海を渡って他国に行かなければならない時に安全に向かえるようにしたり他にも沢山あるけど この国にとっては無くてはならない大切な一族なんだ」
シャミラ 「でも、私達一族はある日、奴隷商人に目をつけられてしまった。
きっと珍しい力があるから高く売れるんでしょうね…」
アステヌ 「その時は今までこの国から誰かが連れ去られて奴隷にされた事なんてなかったから 噂はすぐに広まった。
なんせ連れ去られたのが星読みの一族だったからね」
シャミラ 「私は家族が連れ去られている時、運良く隠れることが出来たの。
助けに行きたかったけど怖くて大人達を呼びにいく事しか出来なかった… それ以来、私はずっと1人…」
そう言うとシャミラは少し寂しげな顔をした
アステヌ 「当然、話はメティコス王の耳にもすぐに届いた。そこでメティコス王は連れ去られた星読みの一族を探すと共に
国中のシャーマン達に俺たちのような姿に戻す薬を作り門番に入国者に必ず使用するよう命じられたんだ。
当時はなぜそんな薬を作るのか意味がわからなかったけど、メティコス王は自分達の特徴を隠す薬が ある事を
知っておられた。そして特徴を隠した者がこの国の気候に耐えられない事も。
つまりエトーレのような姿になって逃げ帰ってくるかもしれない事をお考えになられていた。 薬は使用すると
動物に近い形になってしまうけど僕らはこの姿と行き来できるんだ。
仮に何か問題があって変化出来なかったとしても動物の姿ならこの国で過ごすには 問題ない。ちゃんと体温調節 できる機能は取り戻したからね。
本当は僕らのような姿の方が全体的な身体能力は高いんだけど星読みの一族はメジャイのように
体を動かす必要もないしね。
それにしても連れ去られた時点でこんなに先の事を考えられるなんて…本当に偉大なお方だ」
そうファラオの事を語る案内人の目はまるで神を崇めるかのような目をしていた
エトーレ 『ちょっと待ってください……それじゃあ、母さん達は奴隷だったって事…?そんな事教えてくれなかった…』
シャミラ 「なら、おばさん達はエトに教えたら帰りたがるんじゃないかって 思ったんじゃないかしら
でも帰る方法もないしまだ小さいから騒いで奴隷達にまた見つかるかもって」
エトーレ 『そっか…』
するとシャミラは何かを思いついて
シャミラ 「あ、そうだエト。この後私の部屋へいらっしゃい。お姉さんが、イイコト教えて ア、ゲ、ル♡」
エトーレ 『え…?いやいやいや‼︎お、おおお俺…そういうのはちょっと…』
シャミラ 「うふふ、恥ずかしがらなくていいのよ?」
エトーレ 『い、いや…その…』
レオ 「なら俺たちは飯でも食いにいくか。アステヌ、良い店を紹介してくれ」
アステヌ 「構わないよ」
シャーロッテ 「やったー!お腹すいた!」
エトーレ 『え?』
カルロ 「ま、頑張れよ」
ヴェレ 「楽しんで」
エトーレ 『え?…ええ⁉︎』
チロ 「ちぇ、エトーレだけずるいよな!後で感想教えろよ~」
フリッド 「ヘマすんじゃねぇぞ!」
エトーレ 『み、みんな?ちょ…
ちょっと待ってよおおおおお‼︎』 「アオォォォォォン‼︎」