レオ達はマヒナとメハナに事の経緯を話しエトーレの傷の回復を待ってから出発することにした
エトーレの傷が完治するまでの間の世話はシャミラがどうしてもしたいと言うので任せる事になった
今日もシャミラは嬉しそうに買い物から帰ってきて
シャミラ 「ただいま~!!ねえエト、今日はこのお肉とこっちのお魚どっちにする?
あ、でもちゃんと野菜とか果物も取らなきゃダメよ。
確かにお肉とかお魚は美味しいけどバランスよく食べないと体にも悪いし、傷の治りも遅くなっちゃう」
エトーレ 「あ、あの…俺子供じゃないんで…」
その言葉を聞いたシャミラは少し目を細め
シャミラ 「ふ~ん…子供じゃないんだ。ふ~ん……
じゃあ、お姉さんと タ ノ シ イ コ ト する?♡」
アステヌ 「こらシャミラ、あんまり怪我人をからかわないようにね」
咎めながらアステヌが新しい包帯や冷たい水を持って部屋に入ってきた
エトーレ 「あ、あはは…ありがとうございます」
シャミラ 「何よ2人して。私はただ早く治る様に見てあげてるだけじゃない
それにエトも健康的な男の子だし、お姉さんみたいな綺麗なカラダ好きでしょ?♡」
そう言ってエトーレにウィンクすると アステヌはわざと聞こえるようにエトーレに耳打ちをした
アステヌ 「エトーレ、嫌ならたまには1発殴ってやってよ
街中を歩いてても誰彼構わず声をかけるもんだから一緒に居るとこっちも大変なんだ」
エトーレ 「む、無理ですよ」
アステヌ 「頼むよ、君はもっと面倒な奴を倒したろ」
シャミラ 「あ、ちょっと酷ーい。聞こえてるわよ」
3人はケラケラと笑いあった
アステヌ 「そういえば傷の治り具合はどう?」
エトーレ 「はい!多少痛みはありますが、もう傷も塞がってほぼ元通りです!」
アステヌ 「そうか、良かった。
喉元にも攻撃を受けていたから声が出せなくなるんじゃないかって心配したけど 傷が浅くてラッキーだったね。」
エトーレ 「え、そうなんですか?俺、最後の方殆ど記憶に無いんですよ」
アステヌ 「きっと物凄い集中力だったんだろうね…」
シャミラ 「もう私物凄くハラハラしたけど、姿を変えてからの勢いに圧倒されちゃったわ」
そう言うとシャミラはエトーレに
シャミラ 「今ならあの娘に気持ちを伝えてもいいんじゃないかしら?」
と少し意地悪そうな顔をして言った
するとエトーレは顔を真っ赤にして
エトーレ 「な、ななな……き…気持ちを…?と、というかどこでそれを…」
と慌てた素振りを見せながら言うと 急にアステヌは口を押さえて顔をそらすが僅かに肩を震わせる
シャミラ 「…っぷ。やっぱりまだまだ子供ね」
エトーレ 「あ!今、アステヌさんも俺の事バカにしましたね!」
アステヌ 「い、いや……してない………して……ごめ」
アステヌは耐えきれないと言った様子で笑い出す
エトーレ 「もう………」
そう言って2人を背にしてベットに横になった
シャミラ 「ごめん!ごめんって!ねえ拗ねないでよー」
アステヌ 「悪かったって!」
エトーレは2人の謝る声を聞きながら目を瞑った
エトーレ (気持ちを………伝える、か………)
それから数日後、傷はすっかり目立たなくなり痛みもなくなっていた
出発の時間が近づいた時刻
エトーレは鏡の前に立って顔を洗っていた
隣には色とりどりの花がまとまった小さな花束が置いてある
自分の身なりを隅から隅までチェックをしてどこもおかしい所が無いのを確認すると
フゥっと深呼吸をして花束を持ち街中へと繰り出した
シャミラはその様子を2階のベランダから美しい男性達に囲まれながら見ていた
少し不安気な表情をしながら賑やかな街中を歩いていくとヘルゥとすれ違ったが エトーレは気が付いていない様だった
ヘルゥは声をかけようと口を開いたが、手に持っているものに気がつき黙って角へ向かい腕組みをして横目で様子を伺う
見ているとアステヌもやってきて一緒に角から覗き見始めた
エトーレは入り口に向かう最後の角を曲がり下ろしていた目線をフッと地面から戻した
瞬間、目に入ったのは少し頰を赤らめ金髪の男性と楽しげに話す美しい黒髪の女性
エトーレは進めていた歩を止め右手に持った花束をチラリと見て少し考えた
そしてどこからともなくブワッと吹いてきた風に任せ 手を離し、エトーレは自分を待つ仲間の元へと向かった
「お待たせしました!」
story ettore END