シャミラに連れられエトーレが息絶え絶えの中たどり着いたのは周りにある家とは違う作りの 大きく頑丈そうな建物だった
エトーレ 『はぁ、はぁ…こ、ここですか?』
息を整えながらきくエトーレ
シャミラ 「そうよ。ここは闘獣士団、またの名を闘獣士養成所。闘技場に出場するほとんどの闘獣士達はこういう場所で 初めに訓練を受けるのよ。
エトーレ 「へぇ…」
すいませーん とシャミラが呼びかけると1人の鍛え上げられた肉体をした強そうな男が出てきた
? 「何の用だ」
男を見たシャミラは男の腕を胸の間に挟み体を巻きつけ上目遣いで話しかける
シャミラ 「あら貴方…いい体してるじゃないの。流石闘獣士サマね♡闘技場の面白さは分からないけど闘獣士達が世の女性に
人気があるのは分かるわ
貴方名前は?ねえ今から私と遊びましょ?♡」
そう言われると男は少し戸惑った様子で質問を投げかけた
? 「…なるほど、お前がシャミラか。噂通りだな。俺はケイ…遊ぶのは構わないがそれをわざわざ言いにきたのか?」
エトーレ 『シャミラさん!』
エトーレはシャミラを引き離しながら言った
シャミラ 「ああ、じゃなかった…実は―――
エトーレ 「あ、あの!俺…一週間以内に強くならないといけないんです!』
エトーレは必死な目をして訴える
ケイは怪訝な顔をして言った
ケイ 「何故だ?」
シャミラ 「そうね…詳しく話すと長くなりそうなんだけど実はこの子、動物の姿から私達のような元の姿に戻れないのよ」
ケイ 「それはまた珍しいが…何故そんな状況に?」
シャミラ 「貴方、星読みの一族の1件は知ってるわよね」
ケイ 「勿論だ。そしてお前があの事件で唯一残ったの星読みという事もな
……なるほど。つまりこいつが拐われた中の1人か?
シャミラ 「話が早くて助かるわ。実はこの子には仲間がいるんだけどその中の1人が1週間後の 盛り上げ役に使われるそうなの」 ケイ 「…ふむ。つまり俺たちのような姿に戻れるようになり、更に闘技場で勝ちたいと?」
シャミラ 「そういう事よ。あ~ん。私、頭の回転が速い人も好きよ♡」
ケイ 「はあ。まあ好意を持たれるのは嫌な気分はしないが……」
シャミラ 「それじゃあ、私が出来るのはここまでだから。後はよろしく頼んだわよ~」
そう言って手をヒラヒラ振りながら帰ったと思えばまた近くの男性を見つけては誘惑しているシャミラ
エトーレ 『また置いていかれた……それで、俺はどうしたら…』
ケイ 「まずはここで俺に勝て。そうじゃないと教える事は出来ない
一部の人でなし達から守る意味もあるがむやみやたらに闘技場に出させて死者を増やすつもりはないのでな だから、ここで鍛錬する者はみな同じようにこの試練を突破した者達だ。
だがお前の場合は少し事情が変わってくるな。
1週間などほぼ訓練なしと変わらない。素質がなければここで訓練を受け闘技場に出ても結果は同じだ」
エトーレ 『(素質か…)…分かりました。早速やらせて下さい!』
ケイ 「お手並み拝見といこうじゃないか」
そう言ってケイとエトーレは互いに少し距離をとった
エトーレ 『よし……行くぞ!』
そう言ってケイに向かって走り出すエトーレ
エトーレ (やっぱりそうだ…さっきも走ってる時にも感じたけど、この姿になってから今までこんなに走りやすいと思った
事なんてない……これなら、いけるかも…!)
エトーレ 『おりゃああああ!!!!』
エトーレは地面を蹴って自分より身長が高いケイの腕に噛み付く体制に
ケイ (ふむ…腕か……熟練者達は足を狙って行動不能にしたり弱点である腹部を狙うが逆に意表をつける可能性はある。
しかし考えもなしに腕から狙うのは得策ではないな… この様子だととにかく噛み付けばいいと思ってるんだろう… まあ初心者に有りがちな安易な考えだ)
ケイはエトーレをギリギリまで引きつけると素早く下にしゃがみ 地面と平行な低い姿勢をとると 軽く地面を蹴ってエトーレの後ろへと回り込む
そしてまだ空中を飛んでいるエトーレのしっぽを掴み近くの壁へと投げ飛ばした
エトーレ 『っ⁉︎いな―――
うわあっ!!』
壁に叩きつけられるとそのまま地面にドサっと倒れこむエトーレ
エトーレ 『いたっ……クソッ…もう1回!』
ケイ 「ほう…この程度の攻撃ならすぐ起き上がれるか
一応戦った事くらいはあるようだな…いいだろう、もう1度こい!」
そうしてエトーレは何度も何度もケイに挑むがいとも簡単に交わされてしまった